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僕には、ともだちがひとりもいなかった。
同じクラスにおざわくんというおとこの子がいて、からだが大きくてけんかの強いおざわくんにみんな逆らえなかった。
おざわくんが毎日僕をいじめても、だれもなにも言わなかった。言えなかった。
言えば、こんどは自分がいじめられてしまうから。
こどもは残酷だ。
さいしょはおざわくんに命令されて、いやいや僕を叩いたり蹴ったりしていた子たちが、そのうち自分からいじめるようになる。
みんな、楽しくなるんだ。いじめという行為が。
だから、僕のからだにはいつも傷やあざがたえなかった。
それでも僕は学校に行きつづけたし、いじめられていることを誰にも話さなかった。
母さんに心配をかけたくなかったから。
父さんが死んでから、ひとりで僕を育ててくれている母さんを心配させたくなかったから。
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