青いともだち

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 ときどき、おこづかいで大好きなサイダーを買うことだけが僕の楽しみだった。  学校からの帰り道、ちいさなバス停のとなりにぽつんと立っている青い自動販売機。 「こんにちは。サイダーを買いにきたよ」 「もうすぐ、雨がふってきそうだね」  僕はいつも、その自動販売機に話しかけた。  ほかに、話すひとがいなかったから。 「あれ、鳥のフンがついてる」  かばんからティッシュペーパーを取りだして、自動販売機についた鳥のフンをふいてあげたこともあった。 「今日さ、給食がカレーだったんだ。うちの学校のカレー、おいしいんだよ。……少ししか食べられなかったけど」  早く食べおわったおざわくんに、横取りされてしまったんだ。  青い自動販売機は、いつもだまって僕の話をきいてくれた。  そんなある日、僕はあの声をきいたんだ。 「ぜったいにひみつだよ」
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