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「“絶対に秘密だよ”・・・。」
彼女はそう呟くとそっと目を閉じた。
「うん。この終わり方、好きだな、私。」
少しの間の後、彼女は僕が書いた原稿を返してきた。
「やっぱり君は才能あるよ、書籍で読みたかったなー」
「ありがとうって言っておくけど、次は書き終わってから読んでよね。連載じゃないんだから、それに、書籍化なんて夢のまた夢だよ」
「いつ読めるかわかんないんだからさ、読めるうちに読んどかないとじゃん?」
「そうかもしれないけど、なんか、複雑な気持ちだよ。」
「まあまあ、私はファン第一号なんだからさ!」
「もしかして元気?」
「まあね~ようやく最後まで読めたし!それに君の前なら元気に振る舞うよ、友達なんだから。」
「これまたありがとうって言っておく」
「じゃあ、そんな君に一つ言っておくね。」
「なに?」
「・・・。」
彼女はなにか少し眉を下げて困ったような顔をしている。言葉を選んでいるのだろうか?そんな感じだ。
「一回しか言わないからね?」
「うん。」
彼女の言葉を待っていると彼女はそう前置きした。
「・・・絶対に秘密だよ・・・?」
その時交わした会話が、彼女との最後のやりとりになった。
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