突然目の前に美少女が現れたと思ったら、昔離れ離れになった幼なじみだった件

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 きぃちゃんとは家が近所だったこともあり、幼稚園の頃よく一緒に遊んだ仲だった。  砂場遊びやままごとやかくれんぼ。  はじめてのおつかい的なことまで経験したこともある。  ところが僕らが小学校にあがると同時に、きぃちゃんは親の都合で引っ越してしまった。 「だぐみぐううぅぅぅんッッッ!!!!! また、また、絶対あぞぼうねえぇぇぇぇッッッ!!!!」  大泣きしながらきぃちゃんは走り去る車の中から手を振っていたのを今でも覚えている。 「にしても、たくみくん大きくなったねー」  きぃちゃんは顔を近づけたまま手で僕の身長と自身の身長とを比べていた。  あの頃の身長は同じくらいだったけど、今では僕のほうが20センチほど高い。  つまり、僕は彼女を見下ろしてる格好になる。  子どもの成長って恐ろしい。  昔はきぃちゃんのほうが背が高かったのに。 「いいなー。私、あんまり大きくならなくてー」  ぶほっとむせた。  いやいや、可愛さは十分跳ね上がってますやん。  スタイルもよくなってますやん。(特にお胸のあたりが) 「もう少し身長欲しかったー」 「き、きぃちゃんはそれくらいの身長のほうが可愛くていいと思うよ」 「え?」 「……じゃなくて! え、えーと、どうしてきぃちゃんがここに?」  そうだ、まずはそこだ。  きぃちゃんは県外のだいぶ遠いところに引っ越したはずだ。  遊び感覚で来れるような距離ではない。  するときぃちゃんは嬉しそうに言ってきた。 「実はねー、親の転勤でまたこっちに引っ越してきたんだ」 「あ、そうなんだ」  つまりは転校ということか。  転勤族は同じところを行ったり来たりするところもあると聞く。  どうやら彼女の家もそうらしい。  一度出て行って、また戻ってきたということか。 「で? どこに引っ越してきたの?」 「となり」 「………」 「………」 「……へ?」 「となり」  彼女が指さした先は、空き家だったはずの一軒家。 「今回の赴任は長くなりそうだからって、お父さんが借家を借りたの」 「へ? は? うん?」  それはつまり?  えーと? 「そうなの! 私、たくみくんのおとなりさんになったの!」  嬉しそうに笑うきぃちゃんの笑顔に、今度こそ本当に腰が抜けたのだった。
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