桜の下で、もう一度約束を

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 強い風が吹いて、頭上からひらひらと桜の花びらが落ちてきた。一瞬だけ立ち止まって、道路の向かい側にある桜並木を見つめる。 「……綺麗」  呟いて、すぐに歩き出す。桜は綺麗だけれど、それを楽しむ気にはなれないから。  桜を見ると、破られた約束を思い出す。 『花見をしよう』  そう誘われたのは、もう一年以上前のことだ。
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