主人公原口匠の異世界農家を目指す

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(3) さて、3日目の朝匠さんの様子が何時もより変です。 「匠さんおはよう〜ってあれ?何かいつもの元気が無いけど大丈夫なの?」 と、源さん匠さんに尋ねると、匠さんは、 「源さんおはようございます」 と何時もと変わらない朝の挨拶を源さんにする匠さん。でも次の瞬間、匠さんが床の上にいきなり倒れてしまったので源さん顔を青ざめた状態のまま匠さんに声を掛けます。 「匠さん、匠さん。一体どうしたの?大丈夫?」 すると、匠さんの目が少し開き、匠さん、 「何か俺の調子が良く無いみたい」 と源さんの呼び掛けに答えた後、匠さんはまた目を閉じてしまったので、源さん、 「これは匠さんが大丈夫じゃないな。熱も高いままだしどうしよう俺の方こそパニックになりそう」 と、源さんさらに顔を真っ青にして急いで夏希さんが営んでいるお店に電話を掛けます。 「はい、もしもしこちら海の海底亭で御座います」 「夏希さーんワァーン助けて下さい」 「え?その声源さんなの?てか一体どうしたの?そんなに慌てた声を出して」 「実は今さっき匠さんが急に体調が悪くなって床の上に倒れちゃって俺今まで看病をした事が無くてどうしたらいいか分からない」 と更に電話越しで泣く源さんに夏希さん、 「源さん一旦落ち着いて頂戴。今から私が行くから源さんは匠さんをベットまでサポートしながら連れて行って頂戴。あ!それから洗面器の中にお水を汲みながらタオルを入れといて頂戴。私も急いで向かうからね」 「はい、分かりました夏希さん。はいお待ちしてます。はい、失礼します」 と、少し落ち着きを取り戻した源さんは夏希さんとの電話を終えると、夏希さんが尋ねてくる間に匠さんをベット迄サポートしながら連れていきます。 「匠さんごめんね?起きられる?ベットで休もう」 「うん」 と、匠さんの足取りがふらつきながらも何とか匠さんをベットまでささえ連れていき、棚から色々な物を直ぐに使える様に準備して夏希さんの到着を待ちます。 そして・・・。 「源さん、夏希です。匠さんのサポートに来たよ」 「良かった〜!やっと来てくれた。有難う夏希さん。さ、家の中にどうぞ入って!」 「源さんお邪魔します」 と、夏希さんを家の中に入ってもらい匠さんが寝ているベット迄案内します。 「夏希さん、取り敢えず言われた洗面器に水とタオルを入れて置いたよ。後は体温計等も用意してあるから、俺も夏希さんのお手伝いの要望があったら言って欲しいな!」 「うん、分かった。有難うね源さん」 と、夏希さん机の上に置いてある体温計を手に取ると匠さんの脇の下にさして体温を計っている間に匠さんの額に水で濡らしたタオルを乗せて冷やしまbす。 そして1分後・・・。 匠さんの体温を計っていた体温計のアラームが鳴り、夏希さんが匠さんの脇から取り出すと体温計に表示された温度をみて、 「うーん、やっぱり匠さんの熱が高いね!昨日匠さんに会った時は咳をしている様子は無かったしね」 「うん」 「もしかしたら昨日沢山歩いたから疲れちゃって高熱が出てしまったのかもしれないね」 「え?そうなのか?俺匠さんの体調を築かなくっいてゴメンよ」 と、匠さんに謝る源さんに夏希さんは、 「源さんは何も悪く無いから大丈夫だよ!異世界に来てまだ3日目で初めて見る風景や場所で心身共に疲れたんだね。大丈夫だよまた元気な匠さんになるから源さん源さん元気出して!」 「うんそうだね!有難う夏希さん」 と、源さんを慰めていると、夏希さん、 「あ!匠さんの額から大量の汗をかいてる!拭かなきゃ!」 そう言うと、夏希さん匠さんの額から汗がうっすらと浮かび上がっているので優しく拭いてあげます。そして、夏希さん源さんに、 「匠さん、体相当辛いよね」 「うん辛いと思うよ。こんなけ酷い高熱を出しているんだもんね」 と、ベットの中で速い呼吸を繰り返しながら辛そうな匠さん。すると、時計を見た夏希さんは 「あ、いつの間にお昼の時間なんだね?匠さんの食欲あるかなぁ?」 と、夏希さん寝ている匠さんに声を掛けます。 「匠さん、匠さんもうお昼の時間だけど食欲あるかい?」 でも、寝ている匠さんは首を左右に振り、 「匠さん、お昼ご飯未だ要らないみたい。体の調子が悪いから食べたく無いのかもしれないね!もう少したったらまた声を掛けてみようね」 「うんそうしよう」 と、取り敢えず一旦椅子に座って休憩を挟む源さんと夏希さん。すると夏希さん、 「やっぱり匠さんをお医者様に電話して診てもらった方がいいかもね?」 と、独り言の様に言う夏希さん。その独り言を聞いていた源さんも、 「確かに夏希さんの言う通りだよ。一度匠さんをお医者様に診てもらった方が良さそうだね」 「じゃ、源さん電話を借りてもいいかい?」 「うん大丈夫だよ」 「じゃ、電話借りるね」 「はーい」 と、夏希さん源さんに電話を借りると急いでお医者様に電話を掛けます。そしてお医者様に電話が繋がり、 「もしもし?ちょっとお尋ねしますが、訪問診療って出来ますでしょうか?」 すると優しそうな男性の声で、 「はい!訪問診療出来ますよ!何方ですか?」 「男性の方で歳は19歳です今朝いきなり倒れてしまって酷い高熱もあります」 「分かりました。今からそちらに診察に伺いますので、椅子を2脚用意してもらえますか?」 「はい大丈夫です。森の入口でお待ちしております。はい、失礼します」 と、夏希さん、お医者様との電話での会話を終えると、源さんに 「源さん、今からさっき電話したお医者様がこちらに来てくれるよ。」 「夏希さん本当ですか?良かったです!」 「うんそうだね。さてと私は森の入口で先生が尋ねてくるのを待っていなくちゃいけないから、源さんは椅子を2脚用意しといてもらえるかな?」 「夏希さん分かりました。じゃ、先生が到着したらこの家まで道案内してもらってもいい?」 「うん了解!じゃ行ってきます」 と、一先ず夏希さんは源さんと別れて森の入口で待機し、そして源さんは到着後に直ぐに匠の診察が出来る様に椅子を相向にし、テーブルの横に配置していきます。 「あ!もしかしたら匠さんの背中側の音を聞くかもしれないからまだ早いけど枕をテーブルの上に置いて置こうかな?」 と、源さん匠さんの診察の準備を進む一方で、夏希さんの方はと云うと暫くの間森の入口で待っていると馬の足音が聞こるとお医者様が白い馬に乗っていました。 「お待たせ致しました。貴方様が電話をして来た人ですね?お名前を伺っても宜しいですか?」 「はいそうです。私は桐生夏希と言います」 「有難う御座います。私の名は天童利一といいます。気軽に利一先生とお呼びしても大丈夫ですよ!」 「分かりました利一先生、家までご案内します」 と、夏希さん到着したばかりの利一先生を連れて源さんが待っているお家に道案内します。その道中に少しだけ電話した経緯を分かりやすく伝えます。 「利一先生、この家に原口匠と言う男性が今朝になんの前触れも無くいきなり酷い高熱を出して今寝ています。一応同居人からの電話で駆けつけた所存です」 「分かりやすい説明を有難う御座います。」 そして源さんと匠さんが暮らす家の玄関を開けながら中にいる源さんを呼びます。 「源さん、お医者様が到着したけど、入れて平気?」 「うん、大丈夫!」 「さ、同居人の返事もあったので利一先生入って大丈夫です。」 「そうですか!でわ失礼致します」 と利一先生家の中に入った所で自己紹介です。 「さて、自己紹介をしていきますね。私の名は天童利一と言います。以後お見知り置きよ」 「あ、ご丁寧にどうも。俺の名は利島源と言い、今ベットの中で辛そうに寝てるのが原口匠と言います」 「じゃ、原口匠さんの方が体調が悪くなったんですね?」 「はいそうですね!」 「分かりました。今から早速匠さんの診察に取り掛かりますので匠さんをこの椅子の場所まで連れて来てもらえますか?」 「はい、利一先生宜しくお願いします」 と、源さんベットで寝ている匠さんを起こしにいきます。 「匠さん寝てる所ごめんね?起きられる?」 と、声を掛けると、匠さんの目がゆっくりと開き、 「うん、大丈夫。源さん悪いんだけど体起こして利一先生の所まで連れて行ってもらっていいかな?」 「了解」 と、匠さんの上半身を起こしてから利一先生の空いている椅子に座ると利一先生の診察が始まります。 「さて、最初は匠さんの心臓の音を聞いていきますので服を上げてもらっていいですか?」 「はい」 と、源さん匠さんの着ている服を上まで捲り、利一先生匠さんの心臓の音を聞いていきます。 「はい、前の方は大丈夫ですよ。さて今度は、背中の方の心臓の音を聞いていくのですが少しだけ匠さん前屈みになってもらうので源さんと夏希さんの2人で匠さんのサポートの方を宜しくお願いしますね!」 「はい分かりました」 と、源さん匠さんの体を後ろ側に向かせると椅子から落ちないギリギリの所まで座らせると少しだけ前屈み状態で頭を守るために枕でガードし、利一先生背中側の心臓の音を聞いていきます。 「はい大丈夫ですよ。今度は先程の状態に戻ってもらい、匠さんの口の中を見ていきますよ!」 と源さん、匠さんをゆっくりと最初の状態に戻しながら利一先生は銀色に光る棒とライトを持ちながら、匠さんに、 「匠さん、私の真似をしてもらってもいいですか?アーン」 「アーン」 と、匠さん利一先生と同じ真似をしていくと利一先生、 「うーん大分匠さんの喉の奥が赤くなっていますね。昨日何か変わった事ってありませんでしたか?」 と、利一先生に聞かれたので夏希さん、 「そうですね!昨日私達が住むエレゴスの朝市があったので源さんと匠さんの2人を誘って一緒に散策をしました」 夏希さん利一先生の質問を返すと利一先生、 「なるほど分かりました。もしかしたら朝市に行った人混みの中に風邪をひいた人がいて、そこから風邪を貰った可能性があります。今の所、匠さんは酷い高熱しか出ていませんが、今夜か明日の朝頃かけて咳が出始めると思いますので高熱を下げる粉薬と抗生物質と念の為に咳止めを出しておきますね。また薬が無くなってしまったら天童医院迄電話下さい。私の電話番号のカードを渡しておきますね」 「はい、利一先生有難う御座います」 と、夏希さん利一先生から風邪薬を受け取ります。 「私はこれで失礼致しますね。お大事に」 「わざわざ遠い所からお越しになり有難う御座いました。」 と、源さんと夏希さんさんの2人で利一先生を森の入口まで着いて行き、馬に乗った利一先生の後ろ姿が見えなくなる迄見送ると、家まで戻ります。 「さてと、お粥を作って、さっき利一先生から受け取ったお薬を匠さんに飲ませてみようね!」 「うん!そうだね!」 と家まで着いたので、夏希さん、手を洗いながら、 「じゃ、源さんキッチン借りていくけどお米の場所は何処かな?」 「お米は冷蔵庫の中に入ってるよ!」 「うん分かった」 と、夏希さん早速源さんに言われた冷蔵庫から米びつを取り出すと使うお米の分量を計り、綺麗になるまでお米を洗い、洗ったお米を炊いていきます。そして暫くして出来たてご飯がふっくらと炊き上がると小鍋の中に出来たてのご飯とお水を入れて火に掛けてお米が柔らかくなる迄煮詰めていきます。そして、 「はーい、お待ちどう様。お粥が出来上がったよ。とっても美味しそうだよ」 と、夏希さんが持っていたトレーに乗っていた小鍋の中には、じっくりと煮込んだお米と崩した卵と葱」が添えられていました。流石に源さんも、 「うわぁ〜凄く美味しそうなお粥だね!これなら匠さんも食べてくれそうだね!」 「うんそうだねじゃ、匠さんを起こしてご飯を食べさせてみよう」 そう言うと夏希さん辛そうな呼吸をしながら寝ている匠さんを起こして、早めの夕食にしていきます。 「匠さん、匠さん。もう夕方だけど起きてご飯を食べようか?大分お腹空いたでしょ?夏希さんが美味しそうなお粥を作ってくれたから食べようよ」 と源さん、寝ている匠さんに声を掛けると、匠さん、 「うんお腹空いた。体起こして食べる」 と、匠さん目で合図をし、匠さんの体を上半身だけ起こし、夏希さんが出来たてのお粥を小鍋とお椀とスプーンをトレーに載せて運び食べさせます。 「はい!匠さんアーン!!」 と、お粥を火傷しない程度に冷まし匠さんの口まで運ぶと、匠さんゆっくりとしたペースでお粥を食べ始めます。 「匠さん?どう?お粥美味しいかい?」 と夏希さんが聞くと、匠さん首で、 「凄く美味しいよ!」 と、上下に首を振りその反応に夏希さん思わず嬉しかったのかガッツポーズをし、 「良かった〜!匠さん少しだけど食欲が出て来たみたいだね。さてと今度は利一先生からもらった薬を飲ませないとね!」 と、夏希さん利一先生から出して貰った高熱を下げる粉薬を水で溶かし次に抗生物質の粒を匠さんに飲ませます。 「はい、匠さんお薬だよ!頑張って飲もうね!」 と、先ず最初は匠さんの口にゆっくりとコップを傾けながら高熱を下げる粉薬を溶かした水を飲ませます。そして高熱を下げる粉薬が無くなった所で抗生物質の錠剤を飲ませます。でも薬を飲んだ時は苦いと云う顔をする匠さんですが最後まで2種類の薬を頑張って飲んでくれました。すると時計を見て慌てた様子で夏希さん源さんに、 「あー!いけない。お店を開店する時間だった!ごめんね源さん私一旦お店に戻るね」 「うん、大丈夫だよ。今夜は俺1人で匠さんの寝ずの番だから夏希さん気にしないでお店の方に行ってきて!」 「うん源さん有難ね!明日の朝に旦那と来るからね!」 「うん分かったよ。行ってらっしゃい」 「うん行ってきます源さん」 夏希さん一旦海の海底亭を開ける為の準備の為、エレボスに戻って行きました。そして慌ただしかった夕方が終わり夜がやって来ました。家の外では窓から月の光が部屋全体を照らします。そして源さんは眠気と戦いながら寝ている匠さんの様子を伺っていると家の外の気温が低くなり始め匠さんの強めの咳が遂に出始めてしまったので源さん、 「匠さんちょっと強めの咳が出て来ちゃったね?咳止めを飲もうね?」 と、源さんコップに水を汲んで来てから匠さんの上半身を起こして、汲んで来た水と共に咳止めを口の中にいて、コップを傾けながら水をゆっくりと飲ませると、熱ですっかり乾いてしまったタオルを水で絞り直しまた寝付いた匠さんの額に乗っけて冷やします。 「ふうっー!やっぱり利一先生が言っていた事は本当だったな!取り敢えず匠さんに咳止めを飲ませたから強めの咳が朝まで出なければいいけど・・・。匠さん早く風邪が治ってまた畑の事をやっていこうね」 と、源さん、眠っている匠さんの手を握り1人呟く様に言います。 匠さんが倒れて2日目の朝・・・。 源さん、匠さんの脇に体温計を差し込んで体温を測っていきます。匠さんはベットの上で何とか咳する事も無く静かな寝息を立てて眠っています。そして匠さんの脇に挟んでいた体温計のアラームが鳴ったので取り出して体温を確認する源さん。 「うーん?未だ匠さんの熱が高いままだけど、やっぱり明け方から朝にかけて外の気温が低くなると強めの咳が出てるから辛そうで夜に飲ませた咳止めが切れた途端にまた咳が出始めてしまうかも知れないな!」 と、思っていると、夏希さんが玄関から元気よく入って来ました。 「お早う源さん。匠さんの様子はどう?」 「夏希さんお早う御座います。昨日の夜から咳が出始めたから匠さん辛そうで利一先生から出して貰った咳止めを飲ませたので今は落ち着いているけどね。熱も依然と高いままだよ」 「うーんそっかぁ〜!匠さんの熱中々下がら無いね。あ、そうだ!今日私の夫の海青さんが手伝いに来てくれる予定だよ!」 「え??海青さんがですか?でも夏希さんお店の方は大丈夫なんですか?」 「うーんそれがね」 と、源さんに何があったのか話をする夏希さん。 【夏希さん回想モード】 其れは、源さんの自宅から戻って来た昨夜に遡る・・・。エレボスにある海底亭はいつもどうりにお客さんで賑わいます。そして、調理担当の海青さんに朝あった事を仕事をこなしながら話します。 「ねぇ?貴方!今朝匠さんが急に倒れちゃったのよ。でね、さっき迄源さんの所に行って来たんだけど寝ている匠さんの様子が辛そうでね。源さん今夜大丈夫かなぁ〜?ちょっと私心配だわ」 と、食べ終わったお客さんの対応が終わると、海青さんも驚いて、 「えぇ〜!匠さんが倒れたの?其れは心配だな?夏ちゃん匠さんの様子はどうなの?」 「うん全然大丈夫じゃ無いみたいのよ。匠さんの高熱は酷いからお昼にお医者様の所に電話して診てもらったのだけど何処からか風邪を貰ってしまったみたいで薬をもらって匠さんに飲ませたんだけど・・・。今夜は源さんが匠さんの寝ずの番をしていると思うから早朝に源さんのお手伝いに行ってくるわね」 「其れは源さんが大変だろうから俺も源さんの看病を手伝いしに行くよ!」 「え??貴方このお店はどうするのさ?」 「3週間お休みにする」 と、そう言ってお客さん全員帰って行った後、海青さんお店の入口に手書きの張り紙を貼ってしまい、 『当面暫くの間、海底亭を臨時休業と致します。申し訳ございません。 梅雨の時の七月五日店主』 と、お店の入口に貼る紙に書かれていたので何だか相当複雑な顔をしながら、 「貴方、匠さんの看病を付きっきりはいいけど、ちゃんとお店の冷蔵庫の中身は確りと確認しに行って来てよ〜」 「はいよ分かった。あ、後は海馬さんにアレも頼んでおくかな?」 夏希さんの回想モード終了】 と、深々とため息を着く夏希さんは源さんに、 「そう言う事があってさ3週間も臨時休業にして、お店の売上が無くなってしまって何だか複雑な気持ちだよ私はね」 「あははは・・・大変そうですね」 と、夏希さんの話に源さん苦笑いの顔をしていると家の外から『おーい、おーい』と聞き覚えのある声が聞こえて来たので、立ち上がって外に出てみると海青さんが手を振ってやって来ました。 「海青さん夏希さんから話を聞きましたけどお店の方は大丈夫なんですか?3週間も臨時休業にしちゃって」 と、源さん、海青さんを出迎えながら尋ねると、海青さん、 「うん、大丈夫だよ!其れに源さん1人で匠さんの看病をするのは大変そうだから俺も源さんとの看病をお手伝いしにやって来たんだよ!早々後、これを頼んで作ってもらった!」 と、海青さんが持って来てくれた道具は何と大吾竹で作られた竹の桶とちょっと大きめの竹のテーブルでした。 「え?海青さんこれはもしかして?」 「うん、竹工房の海馬さんに俺が無理言って作ってもらったんだ」 「そうだったんだ〜!!海馬さん有難う御座います。後で道具のお礼の手紙を書かなくっちゃね」 と、源さんが1人で呟いていたら、海青さん、 「海馬さん多分今頃寝不足なんだろうよ!」 と、何故か鼻で笑っている海青さんの反応に源さんも、流石に、 「あはは・・・多分今頃寝不足で寝ているかもしれませんね」 と、海青さんの予期せぬ発言に苦笑いするしか無い源さんです。そして匠さんの看病のお手伝いに来てくれた海青さんに、源さん、 「海青さん、取り敢えず家の中に入っても大丈夫ですよ。海青さんもこの家に尋ねて来るまで大変だったろうし、少し休みましょうか?」 「源さんお気ずかい有難うね。でも、そんなに疲れて無いから大丈夫。俺の体調を心配してくれてたんだね?」 「うん」 「さてと源さん家の中にお邪魔してもいいかい?」 「あ!どうぞ海青さん。」 「お邪魔します」 と、海青さんと源さんの2人が外から家の中に戻って来た途端に寝ていた匠さんが苦しみ始めます。 「あ!!匠さん額のタオルが乾いて眠れ無いのかな?」 源さんそう言ってすっかり乾いてしまったタオルを水で濡らしてからまた寝ている匠さんの額に戻すと匠さんはまた静かな寝息を立てながら眠りに着きます。 「はい、さてと家の旦那が来た事だし匠さんの体を拭いて綺麗にしていこうかしらね?」 「うんそうだね。あ、夏希さん匠さんの頭はどうするの?」 「そうね。匠さんの高熱が下がってからにしようね!」 「うんそうだね!」 「所で源さん昨夜匠さんのつきっきりの看病で寝てないでしょ?少し休むといいよ」 「うん、夏希さん有難う。じゃお言葉に甘えて俺少し休むね。あ、そうだ夏希さん。お風呂場のバイラーのスイッチ入れておくね!」 「源さん有難う。源さんお休み〜」 「うんお休み」 と、源さんお風呂のボイラー火を点火させる為に外にあるボイラーの点火装置を起動させます。そして戻って来ると夏希さんと海青さんのお言葉に甘え少しだけ仮眠を取ります。 「さて、匠さんを連れてきておくれよ!あんた!」 「夏ちゃん了解」 と、海青さん寝ている匠さんの布団をあげてから優しく声を掛けていきます 「匠さん、お風呂に行こうか?俺の背中にのって!」 と、海青さん匠さんのベットの前でしゃがみ込むと匠さんが海青さんの背中にゆっくりとした動作で乗ると、匠さんを連れて夏希さんが待っているお風呂場に連れていくと、椅子がひとつ置かれています。 「海さん、匠さんを置いてある椅子に座らせて着ているシャツとズボンを脱がしておいてもらってもいいかな?」 「はいよ!」 海青さんは夏希さんに元気よく返事を返し、匠さんを椅子に優しく背中を下げて座らせて着ていたシャツとズボンを脱がせます。 「はい!匠さん!脱がせるよ!バンザーイ」 と、海さんの掛け声と共に匠さんが万歳状態になり海さんが匠さんの着ていた服を脱がせるとシャツとズボンは洗濯機の中に放り込んで洗います。 「さて、お風呂のお湯も丁度いい温度になったからやっていくけどいいかい?あんた?」 「夏ちゃんうんいいよ。体だね?」 「うんそうだよ!」 と、お湯が入った桶の中にタオルがつけてあり、匠さんが火傷しない様に丁度いい温度になる様に手で冷ましながら匠さんの体を拭いていきます。 「匠さんこれから体を拭いていくけどいいかい?」 と、優しく匠さんに声を掛けながら体を拭いていく夏希さんと前に倒れて来ない様に支える海さん。そして匠さんの前側が拭き終えると今度は背中側を拭いていきます。 「さ、海さん匠さんの背中を拭いていくから匠さんを後ろを向かせてくれるかな?」 「はいよ」 と、海さん夏希さんの指示で匠さんを優しく支えてから『くるり』と背もたれ側を向けて拭いていきます。そして、夏希さん匠さんの背中が綺麗になった所でベットで仮眠をとっていた源さんが起きる声がしました。 「あぁ〜!よく寝た」 「あ、源さんお早う〜!匠さん体をふけたよ!」 「じゃ、夏希さん交代するね」 「了解」 と、夏希さんと源さんと交代し、夏希さんは匠さんの枕カバーとシーツを洗濯機の中に入れて洗っている間にシャツとズボンは洗い待ちで、夏希さんが昨日帰る前に作っておいたお粥を温めます。 一方お風呂場では・・・。 海さんと源さんの2人でリビングに連れていき、匠さんが着る服を箪笥から取り出して匠さんに着させます。そして丁度お昼近くになったので夏希さん温めたお粥をテーブルまで運びます。すると、源さんが、 「夏希さん匠さん着替え終わったからそのまま椅子に座らせてお昼ご飯食べさせちゃっていい?」 「うんそうね。そうしましょ?」 と、匠さんの着替えを済ませ、そのまま椅子に座らせて温めたお粥を匠さんの口迄運ぶとゆっくりと食べ始めたのを確認した源さんは、 「あ、そう言えば利一先生にまた高熱を下げる薬を貰わないとな。そろそろ無くなって来ちゃったしな」 と、利一先生がやっている天童医院に電話をかける為に黒電話の所まで来ると電話の受話器を取り、 「はい、もしもし?こちら天童医院で御座います」 「あのぉ〜すみません。こちらに天童利一医師はいらっしゃいますか?」 「はい!いらっしゃいますよ。貴方様の名前をお聞きしても宜しいでしょうか?」 「はい、利島源と言います」 「源様、天童利一医師をお呼び致しますので少々お待ち下さい」 暫くして・・・。 「お待たせ致しました。天童利一です」 「利一先生こんにちは」 「あ、源さんこんにちは。匠さんの様子はあれから変化はありましたか?」 「うーんそうですね。まだ高熱が下がらないのと深夜や昼間でも咳が出始めましたね」 「そうですか。分かりました。ところで源さん何か私に用事ですか?」 「えっと、そうですね。もうそろそろ匠さんに飲ませている高熱を下げる薬が無くなって来てるので出して貰えないでしょうか?」 「いいですよ。では、前回と同じ高熱を下げる薬をまた一週間分で出して置きたい所なのですが、私の方が今、他の患者さんの診察をしている最中で手が離せないので私の代わりに伝書鳩のポポが薬を源さんの家まで届けるので待ってて貰えますか?」 「はい分かりました。利一先生失礼致します」 と、源さん利一先生との電話を終え受話器を静かに置き、家の内で窓を眺めながら暫く待っていると外の方で羽音が聞こえて来た途端に源さん、 「あ!さっき電話で言っていた伝書鳩のポポが高熱を下げる薬を持って来てくれたのかな?」 と、玄関の前のバルコニーに出て見ると木の手すりにポポが止まり、ポポの足元には薬と利一先生の手紙が付いていたので外し手紙を読んでみます。 「源さん、お薬代をポポの首に掛けてある投函箱に入れてください」 と言う内容だったので源さんも返事を返す為に、 「利一先生お薬有難う御座います。早速匠さんに飲ませて見ます。また匠さんの様子に変化があったら電話します」 と、云う内容の手紙を素早く描き、ポポの足に括り付け投函箱にお金を入れると、 「さ、利一先生がいるエレボスに気お付けて戻りな」 と、源さんの指にポポを乗せ空に向かって手を上げるとポポは2回源さんの周りを嬉しそうに旋回し、エレボスの方に飛んでいきました。 「さてと、匠さんに利一先生に頼んでおいた薬を飲ませなくっちゃ」 急いで家の中に入ると夏希さんに、 「夏希さん利一先生に頼んで高熱を下げる薬が届いたから匠さんまだお昼後の薬はまだだったよね?」 「うんそうだね未だお昼の食後の薬は飲んで無いよ」 「じゃ、今から匠さんにお昼の薬飲ませようね?」 「そうね」 と、源さんキッチンで水をコップの中に入れて持ち、高熱を下げる粉薬を溶かし、抗生物質の準備をしていき、お腹一杯で眠そうな匠さんに、 「匠さんお薬の時間だよ。頑張って飲もうね!」 と、先ず始めに高熱を下げる薬を溶かした水を匠さんの口に少しづつコップを傾けながら飲ませ、次に抗生物質を飲ませていきますが始めて薬を飲んだ日と同じ様に苦いという顔をしますがちゃんと苦い薬も頑張って飲んでくれました。そして夏希さん、 「あ!匠さんのベット今シーツを洗ってるから暫くの間源さんのベットで匠さん薬を飲んだから寝かすね」 「うん」 と海さん椅子に座る匠さんの前にしゃがみまたおんぶしながら源さんのベットまで連れていき匠さんをゆっくりとベットに下ろし寝かせながら額に水で濡らしたタオルを載せると静かに寝始めます 。そして洗濯をしていたシーツと枕カバーが洗い終わった所で玄関前のバルコニーに干すと今度はシャツとズボンを洗濯機で洗っていきます。 「匠さんのシーツと枕カバーが洗い終わった〜!今日はよく晴れてるから何とか夕方迄には乾いて匠さんのベットに戻せそうだね!」 「うんそうだね!」 と、匠さんのシーツと枕カバーを外で干している源さんに窓から顔を覗かせて言う夏希さん。そして家の裏口にあるボイラーの点火装置じゃ無くて加湿装置のレバーを上げました。すると家の中から、 「何だ?この霧は!火事か!」 と、驚いている様子なので、源さん夏希さんと海青さんに、 「夏希さん、海青さん暫く加湿装置のレバーを切らないで。この霧は裏の山で発生する山霧だから人体には影響が無いから大丈夫だよ。」 「あ!そうだったんだ驚いたわ!でも何でなのかしら?」 「匠さん今風邪で咳もしてるでしょ?で、俺と夏希さんと海青さんに風邪が移らない様に家の中を加湿しているんだよ」 「へぇ〜!!!!」 と、話をしているうちに最後のズボンとシャツが洗い終わったのでもう一度外に干しにいくと、 「源さん、そんな場所で洗濯物を干せるんだね?」 と、また同じ様に窓から顔を覗かせる夏希さんが驚いた顔をしているので、 「うんそうだよ。家の目の前のバルコニーは縁側になっていて外に干せる様になっているんだよ。その方が急に雨が降って来ても干した洗濯物が濡れなくて済むしね」 「なるほどね。私達のお店の裏に使い終わった洗濯物を外に干すんだけど、雨が降ってしまうと洗った洗濯物が全部濡れてしまって雨の日は大変だよ」 「そうなんだ!じゃ、雨に濡れ無い場所を作って貰ったらどうかな?」 「あ!源さんいい提案だよ。お店に戻ったら夫と一緒に考えて見ようかしら?」 「うんそうだね」 と、夏希さんと海青さんは少しだけ椅子に座って休憩を取りながら源さんに、 「ふぅ〜匠さんの体をふけた事だしこれで少しづつ匠さんの熱が下がってくれるといいんだけどね?」 「うんそうだね。薬を飲んでるから何とか明日には匠さんの熱が下がってくれるといいんだけどね」 と、源さん静かに寝ている匠さんの方を見ます。そして、 「さてと、休憩を少し入れたから今度は匠さんの夕食のお粥を作っていこうかしらね?後はちょっとお店に戻って冷蔵庫に入っている食材の確認をして来てそろそろ近い食材があったら持って来るね」 と、源さんと海青さんに声を掛ける夏希さん。 「うん夏ちゃん分かった。こっちに戻って来るのは何時頃になりそう?」 「う〜んそうだね何とか匠さんに夕食を作らないといけないから何とか早めに戻って来るよ。あんたはどうするかい?」 「源さんと俺で匠さんの様子を見てるよ」 「分かったわ。じゃ行って来るね」 「はーい夏希さん行ってらっしゃい」 「行ってきます」 夏希さんは一旦海底亭に戻り、冷蔵庫の中で早く食べなくちゃいけない食材を取り出すと他には傷んで無いのかを確り確認し、源さん達がいる家に素早く戻ります。 一方の源さんと海青さんは・・・。 海さんと源さんの2人は穏やかに寝ている匠さんの寝顔を見つつ、匠さんが苦しむ寝顔をしている時は交代交代でタオルを水で濡らし、絞った後にまた額に戻してあげるとまた静かな寝息を立てる匠さん。すると、海さんがある事に気が付くと、 「ねぇ〜源さん?」 「うん?何かな海さん?」 「匠さんが寝ている時、水で濡らしてから額に戻す時にスーッと静かに眠っているよね?」 「うん確かに!」 「もしかしたら俺が考えているんだけどサイクルが出来ているんじゃないかと思っているんだけどね!」 「え?海さんそれって」 「先ず始めに匠さんが静かに寝ている>タオルが乾き始める>段々と寝ている匠さんが苦しみ出す>乾いたタオルを水に付ける>また匠さんの額に戻す>最後に匠さんが静かにまた寝始める。っていう睡眠サイクルを匠さんは繰り返しているんじゃ無いのかな?って俺は思っているんだよね!」 「そうなんだね」 と海さんと話をしていると、 「ゴホッ、ゴホッ、ハァハァ」 と、寝ている匠さんがまた強めの咳をし始めたので水を飲ませるために声をかける海さん、 「匠さん大丈夫?お水飲もうか?」 すると、源さん水道から水を汲み、匠さんの口元にゆっくりと付けてあげると匠さんがゆっくりと水を飲んで静かに寝始めたので、また海さんが源さんに、 「源さん、まだ匠さんの咳が大分凄いね?」 「うんそうなんだよね。匠さんの咳は少しづつ落ち着いて来てはいるんだけど、どうしても咳が強く出る時があるみたいだから今みたいに咳をして喉が渇くと思うから成る可くた匠さんに水を飲ませる様にはしているんだよね・・・」 「そうなんだ。まあ確かにね咳をするとどうしても喉が渇くんだよね!」 と、源さんの話に海さんは納得している様でした。 そして、あっという間に夕方になり・・・。 海底亭にに行っていた夏希さんがエレボスから大量の食材を持って源さんの家に戻って来ました。そして源さんが丁度バルコニーで干して乾いた洗濯物を取り込む最中で、夏希さんが歩く足音に気が付いた源さんは夏希さんに、 「夏希さんお帰りなさい」 「うん源さん只今!洗濯物はどうかな?」 「確り洗濯物乾いてました!」 「じゃ、よかったわ!急いで匠さんの枕カバーとシーツをベットにすいて戻しましょ?」 「はーい!!!」 源さん乾いた洗濯物の取り込みが終わり、夏希さんと共に匠さんのシーツと枕カバーを綺麗にすきながら戻し終えると、匠さんが海さんの背中にゆっくりと乗り元の匠さんのベットにゆっくりと寝かせていきます。すると夏希さん、 「じゃ、今からお粥を作っていくよ!」 「はーい!あ、夏希さんお米の方は俺が炊いてあるよ!」 「そうなの?助かったわ。有難ね源さん」 「えへへへへ〜」 【其れは夏希さんが戻って来る前の事】 丁度、匠さんの眠る所を優しく見届けた後、何だか源さんの手が空いてしまってやる事が無いので、 「うーん、俺に何かやる事は無いかな?手が空いちゃったな」 等と1人呟きながら源さん机の周りを廻っていると、見かねた海さんが、 「源さんだったらそろそろ夏希さんが戻って来るだろうからお米を炊いておけばいいんじゃないのかな?帰って来たらお粥を作るって言ってたしね!」 「あ!そうだね!その手があったね!ナイスヒント有難う海さん」 と、源さんキッチンに立つと手を綺麗に洗ってからお米を計って研ぎ、炊飯釜に洗ったお米とお水を計って炊飯器にセットしてお米を炊いていきます。そして暫く経った頃に夏希さんが帰って来ました。 回想終了】 「夏希さん丁度行く前に言っていた通りでしたね!」 「うんそうだね。でも時間がかかったよ」
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