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a.m. 11:15
グイッと湯上がりのコーヒー牛乳を飲んで、私は受付に向かった。個室の鍵を返して、私は次の予約場所へ向かう。
「ご無沙汰しています」
「あっ、春岡さん! お待ちしておりました」
これは最早顔見知りのような関係になってしまったマッサージ処の籾原さんだ。籾原さんは爽やかイケメンという言葉がピッタリの男性。
最初こそ異性にマッサージされるのは......と身構えていたけれど、その確かな腕と聞き手上手なところに惹かれて今では彼なしのマッサージは考えられない。
ここでは90分の全身コースを予約している。うつ伏せになったときに床が見える穴の空いたマッサージ台の上で、まな板の上の鯉のようにだらんと横になった。
「今日もまた一段と凝ってますねぇ」
「えへへへ......」
事務作業と立ち作業の両方で酷使した筋肉は定期的に籾原さんの手で揉みほぐしてもらっている。それに今回はスペシャルな疲れもあった。
「本当は先週来たかったんですけど、先週は結婚式だったんです。もうずっと立ちっぱなしだしヒールだしで疲れちゃって」
足をほぐしてもらっていた手がふと、止まる。
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