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「私、温泉以外に趣味がなくって。でも、アクティブじゃないから、遠くの有名な温泉に行ったりとかも特にないんです」
お洒落なカフェの一つ、気の利いたデートスポット一つ知らない。温泉好きを名乗るくせに流行のサウナもやらないからサ活の人達とも趣味が合わない。
あの日、結婚式恒例、馴れ初めのスライドショーの反射に照らされて、自分にはどの場面も作れそうにないと思ったのだ。
「難しいですよね、婚活。私には人が羨む程のプライベートがあるわけじゃないし、他の人から選んでもらう程の強い個性があるわけじゃない。今時分は人並みに生きている認識があるけれど、それが結婚してからもうまく出来るかはわからない」
こうやって私が思考をまとめながら話すとき、籾原さんは決して上辺だけの「ソンナコトナイデスヨー」を言わない。彼のような赤の他人にそれを言って欲しい人が世の中には居ることも勿論よく知っているけれど、私は言って欲しくないことを彼はよく理解してくれていた。
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