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「ほら、料理とか、裁縫とか。明らかに共同生活したら相手のメリットになる趣味ってあるでしょう？ 私にはそれがないんです」
二十から三十代のうちに決めないといけない課題の一つが結婚だとすると、私は漠然と答えを出せないまま結婚しないルートに入りそうだと考えている。
（だって、今もまだ仕事でいっぱいいっぱい）
少ない余暇の時間に他人のために割く暇はないし、合うかもわからない他人と千本ノックをするほどの体力もないのだ。
「うん。長々と続けましたが、相手を喜ばせられる自信がないから、ムリ！ 残念！ おっしまーい！」
私が負の思考を吐き出している間も、籾原さんはきっちりと私の身体をほぐしてくれていた。
先週から気になっていたことを言語化できただけで、私のメンタルもスッキリだ。
（顔、合わせなくて良いからなんでも喋れちゃうんだよね）
籾原さんには普段ならしない恥ずかしい話や際どい話も適度に他人だからなんでも話せてしまう。
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