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 子供というのは無邪気であるがゆえに、ときに容赦のない言葉を浴びせてきたりする。今年小学生になったばかりの次女もその例にもれず、妻に電話で「ごめんごめん」と謝った直後の僕に、次女がいきなりな質問をぶつけてきた。 「え? ママになんてプロポーズしたかだって?」  日曜日の昼下り、穏やかなリビングの空気を壊すかのように、次女が真っ直ぐな目をして聞いてきたのがそれだった。しかも、どんな出会いだったのかまでねだってきたため、近くで興味なさそうにしていた長女までもが耳を大きくしていた。  ――妻との出会い、か……  娘にせがまれたことで、昔の記憶が自然と蘇ってくる。妻は高校の同級生であり、職場で偶然再会したことでつきあうようになったのが結婚のきっかけだった。  というのはあくまで表向きの話で、実は妻にも話してない秘密がある。一瞬迷ったけど、最近なにかと自分を毛嫌いしてくる長女が興味をもってくれたようなので、妻には秘密にすることを条件に話すことにした。 「実はね、一度だけママとは高校生のときに仲良くなったことがあるんだよ」  興味津々の目になった娘たちに語りかけると、そのまま黒歴史でしかなかった高校時代に意識をスリップさせていった。
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