六月「胸が苦しい」

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六月「胸が苦しい」

 食事の片付けとバスタイムを済ませた雲雀は、就寝までの時間を自室でのんびり過ごしていた。  いつもの着慣れたルームウェア姿でベッドの上であぐらをかき、リラックスしながらスマホを操作する。  帰宅時に届いていた実世と文斗のメッセージを、今になってようやく確認した。  そして、プレゼントを渡し損ねたと言っていた実世には、明日受け取る!と元気よくメッセージを送り。  飲みに行こうと誘われた文斗に対してはひとまず、オッケー!と即返信する。 (……でも、なんで“二人で”なんて書いたんだろ?)  別に実世やその他の同期も交えて飲みに行けばいいし、その方が絶対楽しいのに。  そんなふうに雲雀が思っている時、突然ドアから聞こえてきたノック音。  返事をするとドアが開いて、顔を覗かせたのはソワソワした表情の壱臣だった。 「雲雀さん、今いいですか?」 「あ、うん」  言いながら足を閉じて正しく座り直す雲雀と、部屋に入りドアを閉じた壱臣。  しかしその場に立ったまま微動だにせず、両腕は後ろに置かれ何か隠しているような姿勢だった。 「百合子さん、もう寝るって言ってました」 「普段あまりお酒飲まないから眠くなったんだね」 「それで、その……」  いつもなら堂々としている壱臣が、なんだか今は落ち着きがない。  その変化に気づいた雲雀は首を傾げて「なに?」と問うと、両手で抱えるくらいの大きなラッピング袋が目の前に差し出された。  そして少し緊張気味の壱臣が、頬を紅潮させてポツリと呟く。
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