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「お誕生日、おめでとうございます……」
「え、ありがと……ん? もしかしてプレゼント?」
「……プレゼント以外に見えますか」
「っ可愛くないな!」
口答えしてきた壱臣にカッと怒りを露わにした雲雀だが、そのプレゼントとやらを受け取ってじっと見つめた。
不織布素材のピンク色の袋が赤と金のリボンで結ばれていて、女性へのプレゼントだとすぐにわかる。
正直、期待なんてこれっぽっちもしていなかった、高校生の義弟からの誕生日プレゼント。
目を丸くしていた雲雀は、その期待していなかったことを裏切ってきた壱臣の気持ちが嬉しくて、笑顔で礼を伝える。
「ふふ、ありがとう。めちゃくちゃ嬉しい」
「……良かったです」
「開けていいの?」
「はい。あ、でも何がいいのかわからなくて、悩んだ末に……」
壱臣が言い訳をしているのを聞き流しながら、雲雀は袋の中に手を突っ込んだ。
そうして出てきたのは、枕のような形に可愛いクマの顔とボディの布カバーに覆われたクッション。
安眠グッズだ!と思っていると、壱臣から丁寧な説明がされる。
「マッサージクッションです」
「マ……?」
「足とか肩とか、スイッチ入れると揉みほぐしてくれるそうです」
「……一つ聞いていい?」
「はい?」
「なんで、これを選ぼうと思ったの?」
そう真剣な表情で問われた壱臣は、なぜそんなことを雲雀が聞いてきたのかという疑問よりも。
素直に答えることしか考えられないくらいには、予想外の質問だった。
戸惑いつつ、うまく取り繕うこともできずに壱臣が思ったままを話す。
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