教えたがりの雫さん

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高校生活の中で何が一番か。 人によっていろいろあるだろうが、普通の学生ならば部活や文化祭、体育祭、修学旅行なんかをあげるだろう。 しかし、俺は違う。 俺の高校生活の中で、一番の楽しみは休み時間だ。 なぜか。 そう、あの学年一の美少女、高橋雫(たかはししずく)さんが休み時間毎に、俺の席までやってくるからだ。 今日もチャイムが鳴り休み時間になった。 俺は机に突っ伏し寝た振りを決め込む。 しばらくすると、教室内が静寂に包まれる瞬間が来る。 クラスの連中が雫さんの美しさに息を飲むのだ。 つかつかと迷いのない足音が近づいてくると俺の机の脇で止まった。 「ねぇ、石﨑(いしざき)君。ちょっといい?」 俺は引き続き、寝た振りを決め込む。 「なんだ、雫。何か用か」 後ろの席の石﨑が、ダルそうに答えた。
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