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「はい、それが……。まだ、いたんですよ。その男。桜の花全部散っちゃってるのに」
「おいおい、あれからひと月以上経つぞ。それは、気になるな」
「はい。だから俺、思うんっすよね。そいつ殺人犯で、自分が殺した死体をその枯れた桜の木の下に埋めてるんじゃないかって」
「なんか無理やり殺人事件に結び付けてるように思えるけど」
「いや、そんなことないっすよ。だって、死体が見つかったらマズいから、花見で人が来そうな時はずっとその場所をキープして見張ってたんじゃないのかなって」
「まあ、辻褄は合うけど。ちょっと飛躍し過ぎてないか?」
「じゃあ、他に何か理由思い当たります?」
「うーん、リストラされたサラリーマンが時間潰してるとかじゃないのか?酒は現実逃避か?いや、やっぱ分かんねえ」
「俺、一回警察に通報してみようかと思うんっすよね」
「マジか。まあ、お前のそういう行動力のあるところ嫌いじゃないけどね」
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