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レディ・ギルディア
「ええェ、ほらァ最近、コンプライアンスが厳しいから怪人も泣いちゃったらノーサイドなの。正義の味方もそれ以上、手を出せないのよ」
ピーチが事情を説明をした。
「ううゥン、まったくギルディアともあろうモノが嘆かわしいな」
大幹部も頭を抱えたい気分だ。最近の怪人は情けない。
その時、個室のドアがノックされた。
「ピーチ姫様。いらっしゃいますか?」
外から黒服が声をかけてきた。
「ええェ、どうしたの?」
「あのお客様。よろしいでしょうか。目白の闇将軍がピーチ姫様に会わせろとおっしゃられて」
「な、あのおじいちゃまが。もう超ワガママなんだから。あのおじいちゃまったらァ!」
ピーチは露骨にイヤな顔をした。
「目白の闇将軍って、まさかかつて政界のドンと呼ばれた男か?」
大幹部も眉をひそめて訊いた。永田町の大物だ。
「もうわかったわ。おじいちゃまはレベルが違うのよ。チップも破格なの。ちょっと悪いけど顔を出して来るわね。待っててよ。浮気したら許さないからね。ダーリン。チュッ」
甘えるようにキスをし、個室から去っていった。
黒服が入れ替わるように、ヘルプのキャストを紹介した。
「申し訳ありません。お客様。こちら新人のヘルプです。さァご挨拶して」
黒服の後ろから妖艶なキャバ嬢が挨拶をした。金髪でスタイルも抜群だ。豊かな胸の膨らみが大幹部の目を奪っていた。
「はじめまして、宜しくお願いします」
彼女は妖しく大きな瞳を輝かせた。猫のようにクリクリとして大きな目だ。
「ううゥ……、キミは?」
だが大幹部は一瞬で彼女の素性を見破った。間違いないだろう。このヘルプのキャバ嬢は悪の秘密結社のレディ・ギルディアだ。
「クレアです。ピーチさんの代わりは出来ませんが、よろしくお願いします」
すぐさま彼女は大幹部の横に腰を下ろし接客を始めた。
「ああァ、クレアねェ」
大幹部もためらいがちにグラスを掲げた。
「では失礼します」
黒服は音もなく席を外したようだ。
ヘルプのキャバ嬢クレアは大幹部の耳元で甘く囁いた。
「フフゥン、社長とお呼びしましょうか。先生が良いかしら?」
「別に……」
「じゃァ大幹部ダークネス様とお呼びした方が良いかしら?」
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