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あれは数年前、私、順子が十八歳だった頃です。私は不動産屋のデータを探しまくっていました。
なんせ貧乏でしたもので、少しでも安い家賃のところがないか血眼になっていたのです。でも、どこを探しても予算オーバー。このままでは一人暮らしの夢は潰えてしまうと私は少し焦っていました。条件をどんどん落として、とにかく値段だけを焦点に毎日毎日物件情報と睨めっこしていました。
そしたらある日、とうとう見つけたのです、希望通りの条件に該当する物件が。
私は一人で小躍りすると、早速電話をかけてその物件について色々聞いてみました。
ところが、妙なのです。
電話口で対応してくださった方は明るく元気に話して下さったのですが、その部屋のことをこちらから伝えると、途端にトーンダウンして、しどろもどろになってしまったのです。
私はその時、とにかく部屋を抑えようと必死だったので、そこには気付きませんでしたが、今冷静になってみればどう考えてもおかしかったと思います。
私はとにかくその部屋を借りたい旨を伝え、強引に契約へと結びつけたのでした。
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