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その夜から怪奇現象は起きました。
私が寝ようと寝室へ行くと、どこからともなく時計の音がするのです。
アナログのカチッカチッというあの音ですね。
時計はデジタルのものしか持っていなかったのでこれは妙でした。実家にはアナログ時計もありましたので間違えて持ってきてしまったのか思いましたが、どこを探してもそんな時計はありません。変だなと思いつつも私はベッドへ戻りましたが、奇妙な程大きく響くその音に、その日は眠れませんでした。
その翌日も時計の音はありました。
心なしか段々その音は強まっている気がしました。私はどうしてもその音の出所が知りたくなり、部屋中を探し回りました。すると、どうやら隣室との壁の中からその音がしていることが分かったのです。
少しイラっとした私は壁を軽くドンと叩きました。するとガタンと大きな音がしてカチカチ音は止まったのです。喜んだのもつかの間、直ぐにカチカチ音は再び始まりました。
ですが、私は少し安心しました。なんだ、隣の部屋からしているのか、と少し安堵したからです。ただの騒音なら心配ありません。あんまり気になるようなら管理人さんから注意してもらおうかしらと考えながら床につきました。
ところが不可解な体験はそれだけに留まりませんでした。
ペットとして飼っていた金魚にまずその異変は起こりました。
少し大きめの水槽に飼っていたのですが、最初は十匹いたのが、その内の一匹が姿を消したのです。
その翌日になるとまた一匹減っていました。その次の日もまた一匹と、一日一匹ずつ消えていったのです。
室内には金魚を襲うような生き物はいるはずもなく、当然外からの侵入はありません。私は日に日に減ってゆく金魚達を黙って見守るほかありませんでした。
全ての金魚が消えても不可解な事件は収まりません。
今度は飼っていた文鳥にもその被害は及びました。
二羽飼っていたのですが、ある日大学から帰宅すると、その内の一羽が頭を水のみ用の給水器に突っ込んで溺死していたのです。
私は悲しみましたが、これは自分の不手際であると思いました。至らぬ配慮に涙したのですが、その次の日、今度は残っていた一羽も高台から落ちたのか、首の骨を折って死んでしまいました。
引っ越しをしてひと月も経たない内に私が飼っていたペット達は全滅してしまったのです。
あまりのショックに私は大学を休みがちになり、部屋に閉じこもる生活が続きました。
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