事故物件

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 これではいけないとなんとかやる気を振り絞り、大学に行ったある日、私は徹さんとばったり学内で会いました。入学早々に欠席気味の私を色々と心配してくれていたようで、どうしたのかと質問をされたのです。  私は言われるがまま、今までの経緯を全て話しました。すると、彼はうんうんと頷きながら何か申し訳なさそうな顔をして私に謝罪してきました。 「ごめんな、順子。あのなあの部屋なんだけどさ」 「はい……」 「あの部屋おかしいんだよ。ちょっと俺さ、霊感っていうの?あるんだけど。あの部屋に近づいただけで悪寒したんだ。部屋に入るともう無理。吐きそうになった」  私は愕然としました。まさかそんな事を言われてるとは思っていなかったのです。分かってたなら教えてよ、と少し気分が落ち込みましたが、憧れの一人生活に思いを馳せていた私にそんなことは言えなかったのでしょう。
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