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「稔麿さんっ!」
誰もいなくなった室内に、キミの声が虚しく響く。
「ごめん。」
その言葉に、言葉を飲み込んだキミは、笑おうとした。でも、笑えなくて、かわりに涙が流れる。
「幸せ・・・な、んて・・・望んじゃ・・・いなかった・・・でも、キミが・・・、教え・・・て、くれた。」
本当だよ。嘘ばっかりの世界で、僕がキミに贈る最初で最期の本音。伝えたくても、伝えられなかった事だ。
すうッと彼女の涙が僕の頬に落ちた。
「稔麿さん・・・」
「忘れないから。来世、も・・・きっと、探し・・・て。見せ・・る」
本当だよ。キミの事は忘れない。
今まで、伝えそびれてたこと。今言わせてもらおう。
キミは月明かりに照らされてキレイだよ。
「好きだ。」
キミはキョトンとした。
でも、涙をためて頷いた。
「私も大好きです。」
その言葉に僕は最期の力を振り絞っていった。
「僕は・・・、愛してる。」
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