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第6話 秘密の行方
「じゃあ、俺はそろそろ帰るよ」
「おう、またな」
長い一日がようやく終わった。
僕は玄関を出て後ろを振り返った。
本当、ここ最近の騒動は一体何だったんだ。
前にこの家に来て、葵ちゃんと彼女の部屋でキスして……それからいろいろあったな。
「結局、ブラコン妹にいいように振り回されただけか」
とつぶやき、歩き出そうとすると、
「ブラコン妹って誰のこと?」
玄関先に葵ちゃんが立っていた。
「いや、それは、その……」
「結人くん、ありがとう。結人くんのおかげでうまくいった」
葵ちゃんが天使のような笑顔で僕を見る。
何だ、そのかわいすぎる表情は……。
「でも、二人の秘密はまだ続いているよ」
そう言って、葵ちゃんは僕に近づいて、そして、キスをした……。
えっ……。
葵ちゃんは、そのまま家の中に戻っていった。
何だ、今のは。どういうことだ?
あの子は何を考えているんだ?
わからない。僕なんかには、あのかわいすぎる天使……いや、かわいすぎる小悪魔……の考えていることなんて、とうてい理解できそうにない。
帰り道、僕の唇には、葵ちゃんのやわらかい唇の感覚がずっと残っていた。
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