0人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
12
そして下がる手と同時に私達へ視線を戻すウェルスさん。
「姉貴の子どもで姪っ子なんだけどさ。これが可愛くて……だからもし一緒に行っちまったら帰った時にはもう大人になっちゃってるじゃん」
「いや、そんなに掛かんねーだろ」
「とにかく! あの子の成長を一秒でも見逃したくないから一緒には行けないな」
「流石にティラーは欲しいんだけどなぁ。もしもの時の為にも。腕の良いティラーがな」
レナさんはそう言ってウェルスさんを指差した。余程、彼の実力を信頼してるんだろう。
「それなら良い人を知ってる。俺の師匠だから腕は確かだしな」
だがあからさまに眉を顰めるレナさん。
「師匠? そんなじいさんじゃあちょっとなぁ」
「大丈夫だって安心しろ。師匠って言っても少し年上なだけだ」
少し苦い顔をするレナさんに対してウェルスさんは笑い交り。
「なら、とりあえず頼んでみるか」
「名前はコルディア・タース。町の近くにある森に住んでるんだが――簡単な地図描くからちょっと待っててくれ」
そう言ってウェルスさんは家へ。時間は全く掛からず直ぐに一枚のメモを持って戻って来た。
「道自体は分かりやすいから多分、大丈夫だろう」
「さんきゅー」
お礼を言いながらレナさんは一度メモへと視線を落とした。
「あぁそうだ。それと、時間がある時でいいからたまにうちの店手伝ってくれよ。二人だけで大丈夫だろうけど、人手があるに越したことはないからな」
「あぁ任せろ!」
ウェルスさんは、快くそして頼もしくその頼みを受け入れてくれた。
「よろしくお願いします」
そんな彼へ私もお礼と共に頭を下げる。
「それじゃあ出発日が決まったら教えてくれ。見送りぐらいはするからよ。それと師匠によろしく言っといてくれ」
「あぁ、分かった」
最初のコメントを投稿しよう!