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「エラ。どうした?」
しゃがみ込み彼女と出来る限り目線を合わせるウェルスさんは、さながら孫を見る祖父だった。
「見てここ」
大きく沈む悲し気で幼い声はそう言いながら肘を見せた。そこには真っ赤に染まった擦り傷が。
「あぁ痛いねぇ~。すぐに治してあげるからね」
そう言ってウェルスさんは大きな手でその傷を優しく包み込む。
すると、指の隙間から煌々とした光が漏れ――かと思うと一瞬にして静まり返りウェルスさんは手を退けた。彼の手から露わになった肘。そこについさっきまであったはずの傷は綺麗さっぱり無くなっていた。
「あいつはあぁ見えてティラーなんだよ」
その光景を目にしながら少し一驚とする私にレナさんは耳打ちで説明してくれた。
「もう大丈夫?」
「うん! ありがうお兄ちゃん大好き!」
そう言ってエラちゃんは喜色満面にウェルスさんへ抱き着いた。そんな彼女を抱き締め返したウェルスさんは幸福に満ちた笑みを浮かべている。
「お兄ちゃんも大好きだよ」
ぎゅっと抱き締め合うと互いに手に放す二人だけど、その表情には依然と笑みが残っている。
「お兄ちゃんまた後で一緒に遊ぼうね」
「うん。遊ぼうね」
「じゃあね!」
「怪我しないように気を付けるんだよー!」
手を振りながら走り去るエラちゃんと振り返し見送るウェルスさん。その姿が見えなくなるまで緩んだ表情で手を振り続けていた。
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