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「こほっ。こほっ。――それで? 頼みって言うのは?」 「あー、えーっと」  レナさんは言葉を渋るように詰まらせ、助けを求めたんだろう視線を私の方へ。一歩遅れ私もレナさんへ顔を向け、目を合わせる。でもどうすればいいかは分からない。頼みがあるとは言ったけど、目の前のコルディアさんに頼もうとしたのは旅の同行。  中々次の言葉が出てこない私達にコルディアさんは小首を傾げる。 「あなたがウェルスの師匠?」 「師匠って言うか……ゴホッ! まぁ教えたのは確かだね」 「あの、失礼ですけど……タースさんはご病気なんでしょうか?」 「コルでいいよ。君が言いたい事は分かるよ。ティオを扱えるティラーなのにそれでも治せないような病気なのか? でしょ」 「まぁ……はい」  あまり聞かない方がいいかとも思ったが、微笑みを浮かべたコルさんの表情はそうでもないようだった。 「一言で言えば、体質だね」 「体質?」 「昔から極度の病弱で年中何かしらの病気になってた。だからティオを学んだよ」 「つまりティオを扱えるようになって今の状態でいられるって事?」  どこか訝し気な視線をレナさんは送っていた。  でもそれを両腕を広げ受け止めたコルさんの表情は誇らしげ。
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