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だから、このメンバーに懐かしさや新鮮味はないというのがお互いの本音だろう。
その証拠に【誰が来るんだろうね〜…】というやり取りで盛り上がり始める。
その「誰が」の中に、皆がそれぞれ再会したい同級生を思い浮かべていることが伝わってきた。
もちろん、美紅の頭には三柴の緩い笑顔が浮かんでいる。
それでもこのやり取りで出席者に関する確たる情報は得られないまま、美紅は同窓会当日を迎えた。
わかっているのは、幹事が誰であるかと、仲良し六人メンバーのうち、美紅を含めた四人が出席することくらいだ。
週末の、人がごった返す新宿。その中を何とか歩いて到着した居酒屋の個室はかなりの広さだった。
これは、結構な人数が集まるらしい。
既に半分くらいの席が埋まっていて、軽い盛り上がりを見せている。
「おっ!高梨?」
個室の入口で立ち止まっていた美紅は、背後から名前を呼ばれた。
振り返ると今回の幹事を務める同級生に歓迎の笑みを向けられる。
「久しぶり!」
「おう!高梨、変わんないな〜。」
「お互いさまじゃん!」
学級委員としてクラスをまとめる役回りだった彼は、誠実さの中にのぞくその人懐こさも健在だ。
「幹事、ありがとう。結構、出席率高いんだね。」
「おかげさまで。二五人来るよ。」
「すごい!半分以上出席じゃん!」
ざっと見回した感じ、そこに三柴の姿はなかった。
…今日、三柴くんって来る?
そう尋ねようとした矢先、「美紅ー!」と声をかけられる。先に席に座って盛り上がっていた同級生達が美紅を手招きしていた。
いつもの仲良しメンバーに加えて、卒業式以来の懐かしい顔も混ざっている。
同時に幹事の彼も別の同級生に呼ばれ、美紅は三柴の出欠を確認できないまま、席についた。
元気だった?
今、何してるの?
そんな近況報告が飛び交っている。
気付けば席の大半が埋まっていた。
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