第二章 

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「すごい!」 「焼こうぜ!焼こうぜ!」 三柴と清宮が次々と目の前に置かれた網の上にはまぐりとホタテを並べていく。そこからは皆、はしゃぎながら浜焼きに夢中になった。 おぼつかない手付きながらも開いた貝に醤油をさしたり、せっかくの貝の汁をこぼして嘆きの声を上げたり、「熱い!」と騒ぎながら貝を頬張ったり… 軍手も用意されていて、三柴と清宮がそれを手にはめ、焼けた貝を器用に扱っている。 美紅も軍手をはめようとしたら笑いながら二人に止められた。 「浴衣着て、勇ましく貝を焼く気満々ってダメだろ。」と三柴。 「高梨さんは、そんなことしなくていい!」と清宮。 なので、美紅は二人のお言葉に甘えて、ゆっくり食べさせてもらうことにした。 「美味しい!」 美紅が目を輝かせていると、今度は目の前に焼けた海老が差し出される。 「海老、大好きなんだよね?」 清宮が一番大きな海老を美紅の皿に取り分けてくれた。 「えっ…あ、ありがとう。」 「俺にも!」 すかさず催促した三柴を、清宮は「甘えるな。」とばっさり切り捨てた。二人の掛け合いが絶妙で、美紅は笑う。 美味しい浜焼きとお酒のおかげで、清宮もすっかり美紅と三柴の間に流れる空気に馴染んでいた。 最初は魚介を焼いて食べることに夢中だった三人も、しばらくすると落ち着いてきて、今度は話に花が咲く。 「あのさ…美紅ちゃんって呼んでもいい?」 清宮が美紅の反応を伺うようにそっと尋ねてきた。 途端に三柴が清宮の頭をはたく。 「いいわけないし!」 「お前の許可は求めてない!」 「俺が高梨って呼んでるんだぞ?立場をわきまえろ!」 目の前の二人は、かなり真剣にやり合っている。 美紅は「ちょっと!ちょっと!」と止めに入った。これは一体、何の争いだ? 「いいよ、好きなように呼んで。」 美紅がにこやかに承諾すると、清宮が「やった!」と勝利の笑みを浮かべる。 三柴が面白くなさそうにビールを煽り、「何で三柴くんがむくれてるのよ。」と美紅が呆れ顔で苦笑した。
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