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会釈して書類を受け取り、中身を確認する。求人票も含まれていて、お給料は前職と変わらないどころか多い金額だった。泣き屋の仕事は儲かるのだろうか。未知の世界すぎてわからない。
「家の中は自由に使ってくださって構いません。こちらが合い鍵になります」
「ありがとうございます。……えっと、こんなことを聞くのもどうかと思うんですけど、よく知らない人間に合い鍵を渡してもいいんですか?」
「柴田さんとはこうしてお話していますし、僕の中ではよく知らない人間ではありませんよ」
「えっと……じゃあ、彼女さんとかいたら嫌がるのでは……」
「いませんし、作るつもりもないので心配無用です」
「そうですか……」
田村さんは頭が良さそうなのに人に関しては、お人良しというか、危機感がないというか。少し心配になってしまう。
普通なら雇用関係を結ぶとはいえ、会ったばかりの人間に自宅の合い鍵を渡すなんてハードル高いと思うんだけどなぁ。
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