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「それに柴田さんについて下調べはついています」
「じゃあ安心ですね……え、下調べ?」
「どうかしましたか? ああ、言い忘れていましたが、これからビデオ通話で依頼人と話すことになっています。柴田さんも同席してください。依頼人に柴田さんのことはお伝えしてありますので」
聞きたいことがたくさんあるのに田村さんからの情報量が多すぎて、質問のタイミングがつかめない。
田村さんはそんな私を気にも止めずに、窓際のブラインドを降ろした。部屋が暗くなり、田村さんがリモコンのスイッチを押すと、ちょうど私の正面にあたる壁にスクリーンが現れる。
田村さんがパソコンを操作し、スクリーンに映像が映しだされた。そこには通話画面とともに、1人の女性が緊張した面持ちで映っていた。
黒髪のボブに白のブラウス姿の女性は、薄い化粧で優しそうな顔立ちだ。カーソルが通話ボタンに止まると、ブツッと電子音がした。
「……神田さん、本日はよろしくお願いいたします」
『よろしくお願いします……』
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