泣き屋時々謎解く男

1.泣く女

　この仕事に就いて３年。仕事に慣れてきても、涙もろい性格は変わらなかった。むしろ参列した人々を見ているうちに年々涙もろさが増している気がする。

　私がこの職場に来たのは、高卒で入った職場を退職して転職サービスのサイトで勧められたからだ。

　何個かの質問に答えて向いていると言われた仕事の１つで、すぐに働けそうな場所を探していた私はすぐにくいついた。

　前の職場は家族経営の小さな会社で、人間関係が上手くいかなくなって辞めてしまったから、新しい会社では一からやり直そうと決意したのだ。

　人に恵まれた私は、３年の月日を過ごすことができたんだけど、また別の問題に直面している。

　それは式のたびに親族や参列者に感情移入をして泣いてしまうことだ。

　もうこれは性格だから仕方がないと周囲の人は諦めてくれているけれど、参列者の人からは胡乱な視線をもらうことも多々あった。

　私は再びこみ上げた涙をスーツの裾で乱暴に拭う。早く仕事に戻るんだと自分に言い聞かせた。