24人が本棚に入れています
本棚に追加
私と田村さんは入口から近い席に2人並んで座っている。いただいたお弁当の蓋は閉まったまま。
田村さんはスマホを操作しているから私は手持無沙汰だ。お腹が空いたからお弁当を食べようかな、なんて思ったけれど、一応仕事中だ。
スマホを見るふりをして早苗さん達の様子をこっそり伺っている。
「すみません。お待たせしました」
神田さんがスタッフの人との打ち合わせを終えて戻ってきた。いいえ、と答えると、田村さんがスマホをテーブルに置いた。
「では神田さん、そろそろ始めようと思うのですがいいでしょうか」
「はい。よろしくお願いします」
神田さんの表情が引き締まる。私も背筋が伸びた。田村さんの泣き屋の仕事を見るのはこれで2回目。どうやって話を持っていくのかとドキドキする。
「まずは神田さんにこれを見て欲しいのですが」
最初のコメントを投稿しよう!