5.家族

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「結婚するまでは幸せだったようです。旦那さんは子供が好きで、香奈さんもそれを望んだ。しかし、それは叶わなかった」  神田さんがハッと顔を上げた。これは神田さんが言っていた話に繋がる。  子供を授かれなかった2人は、旦那さんの強い要望があって、神田さんを、千代さんを娘として養子に迎えた。 「早苗さん達ご家族はひどく反対したようですね、どうしてですか?」 「どうしてもなにも……」  早苗さんは言いよどみ、千代さんに視線を向けた。 「誰の子かもわからない人間を親族として迎えるのが嫌だったのよ」 「早苗、言葉がすぎるぞ」  旦那さんに苦言を呈されても、早苗さんは鼻を鳴らすだけだ。千代さんもショックを受けたようには見えない。  もしかしたら、薄々わかっていたのかもしれない。早苗さんの言葉にはいつも棘が含まれているようだったし。
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