25人が本棚に入れています
本棚に追加
「後悔はしています。でも、なんていうか、すっきりできました。私と母は家族だったんだって。ううん、父と母と私。全員血が繋がっていなくても、愛されていたし、家族だった。そのことに気が付けて、私、すごく幸せなんです。だから『泣き屋』のあなた達に出会えてよかったです。それじゃあ、バスがもう出てしまうので私はここで」
「ご利用ありがとうございました」
「あの、千代さん、頑張ってください!」
田村さんに倣って私も頭を下げたあと、思わずそう口に出していた。千代さんは一瞬ぽかんとしたあとに、すぐに笑顔で頷いてくれた。
バスが斎場を出て行き、私と田村さんだけになった。
「柴田さん――」
「田村さんごめんなさい!」
「……なにを誤っているんですか」
田村さんが言うより早く、私は頭を下げた。頭上からは田村さんの戸惑った声。
だけど、私はこれだけは言っておかないとと思う。
最初のコメントを投稿しよう!