5.家族

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「一目でブログの内容を理解する力、周囲の空気を瞬時に読み取る共感力、自分の考えを相手にわかりやすく伝えることができる力、どれも簡単に手に入れることはできないです。それは、人に寄り添い続けた柴田さんだからできることなんですよ」 「そんな、大げさな……」 「なんといっても、見事な泣きっぷり! いやぁ、僕は感動しました。タイミング、涙の量、表情、言葉。どれをとっても理想的すぎる……僕はあなたを見習いたい。いや、これからも近くで見させて欲しい」  流れる仕草で田村さんが私の両手を握って顔を近づけてくる。相変わらずのイケメンな顔が、今は少しだけ頬が紅潮しているように見える。  なんで紅潮しているのか。もしかして、私のせい? 「私に『泣き屋』の仕事は向いていると思いますか」 「もちろんです。何度も言っているでしょう」
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