5.家族

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「私、もっと努力します……」 「なにを言っているんですか。柴田さんはそのままで十分有能ですよ」 「は、はは……」  有能という言葉じゃ足りない人間に言われても、なんの説得力もないと思うの。  乾いた笑いしか出ない私を誰か慰めて欲しい。ちらりと田村さんの横顔を盗み見る。横顔もイケメンだ。ちょっと癒された。 「では、仕事も完了したことですし、なにか食べにでも行きますか」 「賛成です!」  結局、出されたお弁当を食べる暇もなく、もうすぐおやつの時間だというのに何も食べていない。気づくと途端にお腹の虫が鳴きだした。 「柴田さんはなくのが上手いですね。さすがです」 「それは……褒めているんですか、からかっているんですか」 「どちらだと思いますか」  これは……からかってる? ああ、もうわからない。お腹が空いた! 「オムライスを所望します!」 「了解しました。では、おすすめのお店があるのでそちらに行きましょうか」  並んで歩く帰り道。今までは葬儀で泣けば、自分の至らなさに落ち込んでいたのに、今日は晴々とした気持ちだ。  泣き屋という未知の世界で私がやっていけるかは不安だけど、田村さんと一緒ならそれなりにやっていけそうだと思った。 了
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