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「お父さん……」
鈴本さんの奥さんが必死に腕を掴んで宥めているけれど、鈴本さんの怒りが納まりそうにない。先輩はなにも悪くないのに私のせいで怒鳴られているのが耐えられなかった。
「申し訳ございませんでした!!」
先輩と鈴本さんの間に走り、すぐに頭を下げた。
「ちょっと柴田、あんたが出て来たら駄目でしょう」
「でも私の責任です」
私の横ですぐに並ぶように頭を下げた先輩が、私にだけ聞こえるように囁いた。実はといえばこれが初めてではなかった。
私は親族の人達を差し置いて涙で目を真っ赤にしてしまう。そのことをよく思わない人は一定数いるのだ。
こういう時に先輩は私の替わりに怒られ、謝罪し、あとから私に事の顛末を教えてくれていた。だから直接お叱りを受けるのは初めてだった。
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