四月の姫

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父が倒れて入院したと実家から電話がきた。 「佳奈美(かなみ)すぐに行ってあげて。 大丈夫、由良(ゆら)は僕がみててあげるから」 仕事から帰宅したばかりの、夫の公平(こうへい)が言ってくれた。 「でも、でも、由良は熱を出して幼稚園を早退したままで......」 混乱する私の肩に公平の大きな手が置かれた。 「大丈夫、僕が看病するよ。お義父さんの元に行ってあげて」 「公平さん、ありがとう」 私たちの住むマンションは都内で、実家は川崎。 そんなに遠くはないから駆けつけられる。 私は身支度を整えてタクシーで駅へと向かった。
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