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「は?え?はあああっ?」
セミロングの髪を乱しながら実家に駆けつけたら......。
父は居間で母と一緒に座っていた。
「はははっ!引っかかったなあ、佳奈美」
元気に父が笑っている。
「佳奈美、まだ気づかないの?今日は四月一日よ」
そう言って母も笑った。
「え、エイプリルフール?こんな、こんな夜から!」
私は力が抜けて座り込んだ。
「そういえばウソをついてなかったなあ、なんてね。
それはつまらんなあ、と。それでな、俺が倒れたと言って、
家に佳奈美を来させるようにしてみたんだ」
父の勝手な言い分に私は涙がこぼれてきた。
「持病のある、お父さんが倒れたって......。
どれだけ心配したと思ってんのよ。
しかも公平さんの帰宅時で、公平さんだって疲れてるときに」
父と母が私に寄り添ってきた。
「ごめんな、佳奈美。由良ちゃんも連れてきてくれるなら、
久しぶりに会えると思ったんだ」
「ごめんね、親思いの佳奈美の気持ち、考えてなかったかも」
私は怒りと安堵でゴチャゴチャになって、しばらく泣いていた。
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