花より人間

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適当に並べられた根っ子が剥き出しの桜の木々。 全て満開で、花びらがひらひらと舞いながら地面へ落ちていく。 だが、桜を見ている者は誰もいない。 桜より別の木が大人気だからだ。 もうすぐ開花するので、木の周りには大勢集まっていた。 赤い種をボリボリと食べながら木を見ている者が多い。 桜の木より一回り小さい木。 枝には大きいつぼみが沢山付いている。 開花が始まり、ゆっくりと開いていく。 青い花を咲かせ、中心部には人間の顔が浮き出た。 悲しい顔をしていて、涙を流している。 他のつぼみも全て青い人面花だった。 「赤い種だから赤い花が咲くと思ったのに」 大きい一つ目の宇宙人が人面花を見て、首を傾げた。 「圧縮の仕方が悪かったのでは?」 全身真っ赤の宇宙人が、うねうねした手で種を突っつく。 「せっかく美しいと噂の桜の木を沢山持ってきたのに……。まぁ、こっちのほうが美味しいし見ごたえあるな」 歯が千本の宇宙人が大きい口を開けて、赤い種と人面花をボリボリと食べる。 「ではまた収穫に行くとしよう」 「全部収穫するなよ?絶滅してしまうからな」 宇宙人達は宇宙船に乗り、地球へ向かった。
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