曇りの日には

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何しにきたの? 「死のうとしてるんですか?」 んなわけないじゃん。見ればわかるでしょ。 「じゃあなんでこんなところにいるんですか?」 外でお弁当が食べたくて。 「こんなに曇ってるのに?」 別にいいでしょ。 「強がらなくてもいいですよ」 だから、屋上で弁当食べてるだけでなんでそんなに心配されんのよ。 「ここは生徒の立ち入りが禁止されているはずだからです」 あんただって入ってきてんじゃん。 「私は下の階の立入禁止の柵が少しずれてたから、心配してきたんです」 あっそう。帰ってもらっていい?  一人で弁当食べたいの。 「いや、死なれては困るので」 だから死なないって言ってるじゃん。話聞いてたの? 「だってあなた血だらけじゃないですか」 あぁ、これ返り血だから。 嫌いな奴を殺しただけ。気にしないで。 「ご自身の血液ではないんですね。よかった」 ほんとに気にしないじゃん。そんなことある? 「マリーゴールド」 は? なに? 「ここの下にある花壇。マリーゴールドが咲いてます」 あー、咲いてたね。 「僕が育ててるんです。花壇の管理を先生から任されているので、汚されたら僕が怒られてしまいます。ここから飛び降りるとかやめてくださいね」 お前、嫌な奴だな。 ほんとにここで死んでやろうかな? 「やめてって言ってるんですけどね」 まぁ、別にこの世に未練はないし、死んでやってもいいけどね。 「死ぬつもりはないとおっしゃっていましたよね」 うん。別に死ぬつもりはなかったけど、死なない理由もないし。どうせ誰も悲しむ人なんていないから。 「確かに悲しむ人はいないかもしれませんが、死んでほしくないと思う人はいるはずです。僕はこの下の花壇の手入れをしていて、汚されたくないのです。お願いだから、ここでは死なないでください」 だから、わかったって。

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