【愛娘のお引越し】

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「……あ、翔太(しょうた)が歌っている……楽しそう……(まい)ちゃん、私、行くね?」 「お母さん!!」 (まい)ちゃんはあきらかにイラついていた。 私は(まい)ちゃんと距離をおきたいと願わずにはいられなかった……今は。 私は(まい)ちゃんの部屋の(ふすま)を閉め、楽しそうに踊りながら歌っている翔太(しょうた)を見た。 翔太(しょうた)は知的障害を伴う自閉症だが、自分のスタンスを崩さずに今の社会のルールに合わせ、頑張って生きている。 翔太(しょうた)は心で思っていることを独り言として全て話すので、今日その日になにがあったのかが手に取るように分かる。 裏表がない翔太(しょうた)の存在は私にとっては絶対的な存在だった。 (むし)ろ、健常者と呼ばれる人の方が私には怖かった。 笑いながら何を思っているかが知れない。 その点、翔太(しょうた)と……旦那である一如(かずなお)は信頼ができた。 この二人は絶対に私を裏切らないと確信できるからだ。 私は気を(まぎ)らす為に翔太(しょうた)と一緒にアタック25を歌いながら踊った。 そしたら先程、(まい)ちゃんが言っていたことを忘れ私は楽しくなっていた。 あれから(まい)ちゃんは自分の部屋から出てこようとはしなかった。
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