【愛娘のお引越し】

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12月の初め。 12月にしては春のような陽気になったある日の土曜日。 私は専業主婦、旦那と息子と娘は会社勤めの一般家庭で仲良く暮らしていた。 娘の(まい)ちゃんと息子の翔太(しょうた)は土日休みであったが、旦那の一如(かずなお)は日月休みだったので、その日は仕事だった。 (まい)ちゃんは自分の部屋で、ビデオ録画しておいた深夜帯にテレビ放送しているアニメを観ながら折り紙で薔薇を折っていた。 私は(まい)ちゃんが観るアニメがメンタル的に参ってしまう内容の話だったので、事ある(ごと)に観ないようにと言っていたが(まい)ちゃんはそんな私の言葉なぞ、我関せずとばかりに言うことを聞かない。 社会人になる前は、マミィーと私のことを呼び高校生になっても抱っこーーー!とおねだりしてきたのに(娘の身長は145cmで当時は小学生とよく間違えられていた)、今の(まい)ちゃんは私、旦那、息子をバイキン扱いをして近づくことを拒んでいた。 よって家事もしない料理もしない……生活費も払わない、と、(まい)ちゃんは自分の給料を丸ごと自由に使って、悠々自適(ゆうゆうじてき)に暮らしていた。 そんな(まい)ちゃんのことを私は一人暮らしをしたらいいのに……と思っていた。 「お母さん。今日、大事な話があるからお父さんが仕事から帰ってきたら私の部屋に来て」 と珍しくそう(まい)ちゃんの方から私に言ってきた。 (まい)ちゃんの方から話しかけてくるなんて珍しい。なんだろ?と思いながら夕飯の支度をしていた。
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