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「大気組成が2000年ころの地球とほぼ同じなんだぜ。空気を味見しないって手はねえさ。アンドレイくんには、わかんねえだろうなあ」
この人をどうしたものか。そんな表情で、アンドレイは腕組みをして首を横に振った。
「そうだアンドレイ。船のみんなも呼んで宴会をしようぜ。お花見だ」
そのとき、「全部聞こえてるんだからな」という太い声が聞こえてきた。
「ロジャーか?」
タクヤが30メートルほど離れた着陸船のほうを見ると、筋肉たくましいロジャーと、小太りで背の小さなヤンが、たくさんの食べ物や飲み物が入った反重力カートを押してやってきた。
「キャプテン・トムが、息抜きしていいってよ」
ロジャーが太い腕で、アルコール飲料の容器をタクヤに向けて放ると、アンドレイがそれをキャッチして奪った。
「私もいただきます」
「えー、アンドレイ飲めないだろ?」
ヤンがかん高い声で笑うが、アンドレイは素早く容器をあけ、中身を飲みほした。
「やるねー」
タクヤとロジャーが顔を見合わせ、同時にそう言った。
「楽しそうね」と、キャサリンとマリーの女性二人もやってきた。大きなシートを敷いて皆で座り、酒盛りが始まった。
「ピクニックみたいね」と、黒髪ショートヘアのマリーが言うと、「お花見って言うんだぜ」とタクヤ。
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