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船にはキャプテン・トムしかいないので、当然そうかと思っていたが、キャプテン・トムではなかったので、タクヤは驚いた。
タクヤに向って歩いてきたのは、アンドレイだった。
そこに座っているアンドレイとは別のアンドレイ。……いや、同じアンドレイだ。
アンドレイは、横たわるタクヤの上にまたがり、顔を近づけてきた。そして額と額を合わせて、こう言った。
「タクヤ。今、君の脳波にアクセスした。直接きみの脳に話しかけている」
アンドレイの声は、はっきりと聞こえた。
「タクヤ。きみが見ているのはすべて幻覚だ。目を覚ますんだ」
「幻覚?」
突然、あたりが真っ暗になった。真っ暗な空間にタクヤひとりが浮いていた。
「タクヤ……。目を覚ませ、タクヤ!」
アンドレイの声だけが聞こえていた。
眩しい光が見えた。
明るい照明の光だ。
気が付くとタクヤは着陸船の中にいた。
隣のベッドにはアンドレイが横になり、タクヤとヘッドギアでつながっていた。
タクヤの頭に被せられたヘッドギアからコードが延びて、アンドレイの頭のコネクターに直接つながっていた。アンドレイは、ヒューマノイド、すなわち人間型のAIロボットだった。
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