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いつものようにカイとマイルズは森で狩りをして、川で魚を釣り、カイの部屋で夕飯の時間までゴロゴロしながら過ごす。当たり前になっている平坦な1日が今日も終わろうとしていた。
「はー……」
マイルズの大きなため息に、カイは片眉を上げて視線を送る。
「どうかしたのか?」
「どうかしたのかって、毎日毎日カイとばかり一緒だろ? 俺は可愛い女の子とデートがしたい!」
「それは俺だってしたいけど、無理だろ」
マイルズの切実な叫びに同意しながらも、カイは諦めた表情で肩をすくめた。
カイとマイルズの暮らす辺境の村は平均年齢がものすごく高い。引き下げているのはカイとマイルズと10歳下の7歳の女の子。1番歳が近いのが7歳の女の子では恋愛対象になんてならない。その次に若い女性は35歳のカイの母親だ。カイとマイルズがデートに誘えるような女性は村にいない。
「俺、村を出ようかな」
「急だな」
「だってこのまま歳ばっかりとって、女の子とデートすることもなくカイとばかり過ごすなんて怖すぎる。俺は彼女がほしいし、いずれは結婚だってしたい!」
マイルズの言葉にカイは顔を引き攣らせた。このままでは女の子と付き合うこともなく、マイルズと一生を終えそうだ、と。恐怖で身震いし、自分の体を抱いた。
「……そうだな。この村にいたら無理だけど、村を出たら彼女も結婚も夢じゃないよな! 一緒に村を出ようぜ」
カイとマイルズは『可愛い彼女』を求めて村を出ることにした。
その日のうちに準備をし、明け方に村を出る。『彼女ができるまで連絡はしない。探さないでください』と書き置きを残して。
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