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何故だか倒れてしまったイチコちゃんを抱えてホームのベンチに連れてきた。とりあえず、よいしょと、イチコちゃんを横にして、頭を僕の膝の上に。
イチコちゃんがあまりに軽くて細くて、ビックリした。
やっと会えた。ずっとずっと会いたかったイチコちゃん。
だけど僕が『こたろう』だって事は言っちゃいけないって神様に言われている。せっかく会えたんだもん。約束を破って消えちゃうなんて、そんな事にはなりたくない。
だけど言いたい。だって、ずっと会いたかったし、ずっと探していたんだ。
神様、意地悪だな。言っちゃいけないなんて。
生まれ変わった僕に、イチコちゃんは気づいてくれるんだろうか。
そっとイチコちゃんの顔にかかっていた髪の毛を、横にと流すと「ん……」と身じろぎした。
「イチコちゃん? イチコちゃん! 大丈夫!?」
声をかけるけど、イチコちゃんはまだ固く目を閉じていた。
これ、大丈夫なのかな? 気を失っているだけ、だよね? 頭打ったりしてないし。
「イチコちゃん? イチコちゃん!」
「……う、うぅん。こたろう、ちょっと待って。寝かせてぇ~」
え? イチコちゃん今、こたろうって呼んだ?
「イチコちゃん! ねぇ、イチコちゃん! もう一回呼んで!」
「っだから、ちょっと待ってってー!」
少しめんどくさそうに言いながら、イチコちゃんは目を覚ました。
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