もう一度、キミの元へ~虹の橋を越えて~

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 僕の顔を見て驚いて体を起こそうとしたから、すぐに身体を押さえた。 「ダメ! 急に起き上がったら危ないよ。もうちょっと寝てて!」  その勢いにビックリしたのか、目を真ん丸にしながらもそのまま大人しく横になってくれた。  あぁ、イチコちゃんだ。イチコちゃんが僕の事を見てくれている。  嬉しいのと、安心したのと、いろんな感情が入り混じって、思わず涙がぽろぽろぽろぽろと零れていく。 「え? なんで泣いてるの⁉︎」 「だ、だって、イチコちゃん、急に倒れるから。僕、ビックリして」  止まらない涙をなんとかしたくて、腕でゴシゴシと拭うけど、ちっとも止まらない。今まで泣いたことなんて全然なかったのに。  止まれ、止まれ、涙!  そんな僕の髪の毛を、そっと優しく撫でる手に気がついた。  あぁ……変わらない。この優しい手。 「ふふっ。柔らかい」  遠慮がちに触れていた手は、少しずつ手のひら全体で髪の毛を梳くように、何度も触れてくれる。 「イチコちゃんの手、気持ちいい」  姿かたちが変わっても。やっぱりこの手で触れられるのは、幸せだ。 「それ。さっきから気になっていたの。なんで私の名前を知っているの?……あなた、誰?」  今の名前を言えばいいんだろうか?  でもイチコちゃん、さっき、目を覚ます前に名前を呼んでくれたんだ。  イチコちゃんの中に、きっとまだボクも生きている。  神様の言葉が頭の中に響く。  ──姿かたちが変わって、それでも彼女がキミに気づくことが出来るかな?  神様、イチコちゃんはきっと気づいてくれたんだ。  そう祈るように、僕はイチコちゃんに声をかける。 「さっき。イチコちゃん、呼んでくれたよ」  夢を見ていたのかもしれない。  だけど、その夢が僕と結びついてくれたなら……どうか、気づいて! 「こた……ろう?」  信じられないように。だけど、そう呼びかけたイチコちゃんの瞳に、今の姿じゃないボクが映っている気がした。  ……あぁ、神様。奇跡って起きるんだね。  イチコちゃんの呼びかけに、僕は笑って答えた。 「そう。『こたろう』だよ。イチコちゃん。イチコちゃんに会いたくて、ずっと探してた」
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