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大好きな、大好きなイチコちゃん。
もう一度、イチコちゃんに会いたい。イチコちゃんのいない世界なんて耐えられない。
──そんなに言うなら、元の世界に戻ってみるかい?
神様、本当? ボク、元の世界に戻れるの?
──ただし、残念ながら今の犬の姿では戻れないよ。キミは人間になるんだ。姿かたちが変わって、それでも彼女がキミに気づくことが出来るかな?
わからない。でも、気づいてくれなくてもいいんだ。ボクはただ、イチコちゃんの傍に行きたい。それだけなんだから。
──そうかい。じゃあこれだけは絶対に守るんだ。キミが『こたろう』だと言う事は、自分から彼女に言ってはいけないよ。絶対に秘密だ。それが、守れるかい?
もちろんだよ! イチコちゃんに会う為なら、どんな約束だって守ってみせる!
──彼女が自分からキミの名前を言うまでは、秘密にしておくんだ。もしその秘密が守れなければ、その時点でキミは、魂ごと消えてしまうからね。
かまわないよ。このままイチコちゃんに会えない方がずっと嫌だもん。
だから神様、ボクをイチコちゃんの元に戻して。
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