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あの女子がやって来た
玄関の扉が開くと、そこから一人の女子が入ってきた。
年のころは十代後半くらい。長い髪にあどけない顔立ち。薄手のジャンパーとジーパンに包んだ体は、すらりとしている。すっぴんじゃからか、地味で純朴な印象を受けるが、美しい娘じゃ。
ついに来おったぞ! あの女子が!
女子はきょろきょろしながら台所を歩く。
「思ったよりも、きれいになっているわね」
部屋に入るなり、安心したような、少し驚いたような表情になって、そう言った女子。当たり前じゃろう。業者が頑張って掃除したのじゃから。
女子は背負っていたリュックサックと持っていた鞄を下ろし、床の上に座る。
女子はジャンパーのポケットからスマホを取り出し、タッチパネルを操作する。
スマホを顔の横に当てると、口を開き始めた。
「もしもし、お母さん? 今、着いたよ」
どうやら母親と通話しているようじゃ。
女子は通話を終えると、ジャンパーを脱いだ。
トップスがセーターになった女子。
ほほぉ……。
どうやら、出ている所は出ているようじゃな。
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