わしは何もしない

あの女子がやって来た

　やがて、引っ越し業者が来て、ダンボール箱や収納ケース等を次々と運んできた。
　引っ越し業者だけではない。
　電気屋も来たようじゃ。
　今日、家電製品は生活に欠かせないからの。
　電気屋は洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫を設置。どうやら上手くいったようじゃ。
　なお、エアコンは部屋に最初からついておる。以前、業者がメンテナンスしに来た時に、きちんと動いていた。じゃから、安心して使えるぞ。
　ダンボール箱を開梱して今必要なものだけ取り出したり、収納ケースを押し入れに入れたりして、部屋の整理をした後、女子は鞄の中から何やら取り出した。
　取り出したものは、プラスチックケース。中におにぎりが入っている。
　おにぎりは自分で作ったものじゃろうか？　それとも、親が作ったものじゃろうか？　コンビニ等で売っているようなおにぎりではないことは確かじゃが。ま、どちらでもいいか。
「いただきます」
　そう言って、女子はおにぎりを頬張った。
　女子の夕食は、おにぎり二個。
　なかなかつつましい食事じゃ。
　小食なのか、お金がないのか、あるいは両方なのか。はっきりとしたことはわからんが、ここに引っ越してくるあたり、裕福ではないのかもしれんのう。