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「カレー、食べマスか?」
「食べます! ありがとう!」
時折ただよってきていた匂いと、規則正しい包丁の音の正体は、香辛料たっぷりのカレーだったりスープだったりしたようだ。
正直、何度か、
「くっさ。臭いテロじゃん! こんなの!」
と、ライとの交流がない時は恨み節を自室でぼやいてたこともあった。
と、同時に、その香りに食欲をそそられる自分に、罪悪感のようなものがあったのも事実───なんだけど。
「んーっ。やっぱり、食べ物に罪はない!」
「罪、デスか?」
「美味しいってことです」
「おいシイ、良カッタ。秋良サン、食べるのカワイイ。萌ぇマース! イェーイ!」
片手にスプーンで、意味なくハイタッチ。たまにライがする、よく解らんノリ。
たぶん、覚えたての日本語を使ってみたいヤツだろうと思い、私も適当に合わせている。
「あれ……スマホ鳴ってるよ」
「ああ、ハイ」
さっきまでの明るい顔から一転して、ライの表情がスマホ画面を見たとたん、くもる。
「気にしないで、出なよ」
「ハイ……ごめんナサイ」
ペコリ、頭を下げてからスマホをタップしつつ立ち上がる。
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