異種接近交遊 Part.1『声音』

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「あと、これ実は翻訳機も兼ねてるんで」 「翻訳機?」 「僕……そうは見えないかも知れないですけど」 そこで、いったんライは咳払いをした。私の耳の側で、ささやく。 「アホなんで」 「はっ?」 「環境適性とか対処能力とかは高いって評価されたんですけどね。 言語解析レベルが致命的に低くて、上司に『お前はコレでも付けとけ!』って、強制的に」 ふたたびライの手が自分の喉仏に触れ、なんか可愛く微笑んだ。 ……うん、実はね、時々感じてたんだ、ライはアホかもって。 いや、よくいえば素直なんだけどさ。 だいたい───。 「そのファスナー、なんで隠しとかないの?」 「えっ? ああ……普段は隠してますよ?」 「……私の前で、うっかりというか油断したってこと?」 ライは私の言葉にうーん……と、うなった。 「秋良さんって、基本的に他人を信用する人ですよね」 「そうかな?」 「そうですよ。気をつけてください? 僕みたいなヤツにだまされないように」 スルリと肩に回された腕に捕らわれて、気づけば背中にライの胸板を感じていて。 「……まさか、わざと見せたの?」 「あれ? 気づいちゃいました?」 ちゅっ、って、うなじにくちづけられた上、また、その色っぽい声が私の耳を支配した。 ───だからっ!
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